もともと、
イタリア半島中部のラティウム地方(
ローマを中心とした地域、現
イタリア・
ラツィオ州)において
ラテン人により用いられていた言語であったが、
ローマ帝国の
公用語となったことにより、広大な版図に伝播した。
ギリシア語から多くの語彙を取り入れ、
学問・
思想などの活動にも使用されるようになった。
東ローマ帝国においてはやがてギリシア語が優勢になったが、今日の西ヨーロッパに相当する地域においてはローマ帝国滅亡後も
ローマ・カトリック教会の公用語となり、長らく
文語の地位を保った。現在でも
バチカン市国の公用語はラテン語である。たとえば典礼は
第2バチカン公会議まで、ラテン語で行われていた。今日に至るまで数多くの作曲家が典礼文に曲をつけており、
クラシック音楽の中では主要な歌唱言語の1つである。ただし、実際の使用は公文書や
ミサなどに限られ、日常的に話されているわけではない。また、バチカンで使われるラテン語は、古典式とは異なる変則的なラテン語であることも付け加えておく。なお、多民族・多言語国家である
スイスではラテン語の名称の
アクロニムを自国名称の略 (CH) としている。
現代
医学においても、
解剖学用語は基本的にラテン語である。これは、かつて誰もが自由に造語して使っていた解剖学語彙を、BNA(バーゼル解剖学用語)、PNA(パリ解剖学用語)などで統一した歴史的経緯が関連している。つまり、用語の統一にラテン語が用いられたのである。そのため、日本解剖学会により刊行されている『解剖学用語』も基本的にはラテン語である(ラテン語一言語主義)。ただし、
臨床の場面では、医師が患者に自国語で病状説明をするのが当然であるため、各国ともラテン語の他に自国語の解剖学専門用語が存在する(ラテン語・自国語の二言語主義)。近年では、医学系の学会や学術誌の最高峰が英語圏に集中するようになったため、
英語の解剖学用語の重要性が上がった。日本では、ラテン語(基本)・英語(学会用)・
日本語(臨床現場用)の三言語併記の解剖学書も増えている(ラテン語・英語・自国語の三言語主義)。