朝貢 wikipedia|無料辞書
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朝貢(ちょうこう)は、主に前近代の
中国を中心とした貿易の形態。中国の
皇帝に対して周辺国の君主が貢物を捧げ、これに対して皇帝側が恩賜を与えるという形式を持って成立する。なお、周辺国が貢物を捧げることを
進貢(しんこう)、皇帝がその貢物を受け入れることを
入貢(にゅうこう)という。
◆ 概要
王化思想を基調として周辺諸国の夷狄たちが、「中国の徳を慕って」朝貢を行い、これに対して回賜を与えるという形式である。
四夷から朝貢を受けることは皇帝の
徳を示すこととされ、内外に向けて政権の正統性を示すことになるため歴代中国政権はコストを払ってでも朝貢を歓迎した。
また周辺異民族と敵対関係になって軍事支出を行うよりは、朝貢を受けて回賜を与えたほうが安上がりであるという現実もあった。周辺の異民族を討伐して支配下に置いたとしても、生産性の低い地域に支配領域を広げるだけであり、税収よりも軍事支配のためのコストのほうが上回る事になる。朝貢は中国政権にとって、優れた安全保障システムでもあった。
朝貢国から送ってきた貢物に対して回賜が数倍の価値となることが原則であり、朝貢国にとって利益となる事例が多かった。その場合、朝貢に来る使節の人員に対しても多額の褒賞金が与えられた。その費用がかさむために朝貢の回数を制限するということも行われた。
冊封により中国王朝の臣下となった冊封国は原則的に毎年の朝貢の義務があるが、冊封を受けていない国でも朝貢自体は行うことが出来た。
漢字文化圏に包含された冊封国からの朝貢は、経済的な利益にとどまらず、書物の購入、情報の入手など、社会・文化的な利益も伴うものであった。
宋代においてこのシステムは破綻する。
遼に対しては辛うじて上位にたって中華王朝としての面目を保ったものの、
金に対しては宋王朝のほうが下位の立場に立って、貢物を差し出す事となった。
元代においては朝貢と言った形式はとられなかったが、
明になると再び朝貢形式が採られた。
鄭和による大遠征はヨーロッパの大航海時代に先駆けたものであったが、これにより多数の国々からの朝貢を受けることになった。
清代においても、ヨーロッパとは朝貢形式と代わらない感覚で貿易を継続しようとした。その結果は
アヘン戦争に始まる一連の進出を招き、中国がヨーロッパの半植民地化する事態を招いた。この結果、朝貢という形式での対外関係は終焉を迎えた。
◆ 日本
◇古代
後漢の代より
倭国からの朝貢が記録に残る。
倭の五王が冊封されていたと言われ、中国の
南朝に対して断続的に朝貢を続けていた。これは朝鮮半島における勢力争いへの支援を引き出す目的だったと言われるが、南朝は
北朝への対抗上
高句麗との関係を重視したため倭国側の意図は果たせず、朝貢も途絶える。
遣隋使においては
聖徳太子が「天子の国書」を送って
隋の
煬帝を激怒させたが、結局は隋からは倭王として臣下の扱いを受けた。
遣唐使は朝貢形式で行われている。日本の側の君主は「天皇」を既に自称していたが、それでも中国の皇帝と対等の立場で貿易を行っていたという記録は無い。おそらく現場の担当者が、ごまかしを行っていたのではないかと推測される。その廃止以降当面は中国の冊封体制に加わることはなかった。
五代十国の
呉越や、
北宋・
南宋とも交流があったが、
藤原氏や
平氏、その他民間の商人によるものであり、正式な国家交流ではなかった。
渤海との貿易においては、逆に渤海の側が日本に対して
渤海使を派遣し、日本側は朝貢として受け入れた。当時の日本の国力では、毎年の朝貢に対して回賜を行う能力は無く、12年に1度に制限するに至った。
また
日本書紀によれば、7世紀中頃に、朝鮮の済州島に古代から中世にかけて存在した王国である
耽羅国が、唐の侵攻を恐れて、日本に朝貢したという。
あるいは、
隋書の倭国伝には「新羅・百濟は、みな?を以て大国にして珍物多しとなし。並びにこれを敬い仰ぎて、恒に使いを通わせ往来す」との記述がある。
◇中世
倭寇に悩まされる明は、日本側に有利な朝貢関係の設定と引き換えに倭寇を取り締まらせようとする。日本の
南北朝期に九州に
南朝派政権を構えていた
懐良親王が「
日本国王良懐」として明に朝貢を行う。その後室町幕府3代将軍の
足利義満が明朝に対して使節を派遣して「日本国王」に冊封される。以後、外交文書に使用して
日明貿易(勘合貿易)を開始。父の名目的対明臣従路線を嫌った4代将軍
足利義持による一時的な停止はあったものの日本側に有利な取引による利益は捨てがたく、まもなく義持自身により再開され、以降室町時代を通じて行われた。
足利義政は進貢すら省略し一方的な
銅銭の賜与を懇願した事もあり、これは一度認められたものの再び懇願した際には拒絶される。
◇近世
室町幕府の弱体化により、
大内氏などの大名により勘合貿易が継続される。安土桃山時代には、
豊臣秀吉の朝鮮出兵(
文禄・慶長の役)が行われ、日明関係は断絶。
江戸時代には一応関係は修復されるが、江戸幕府は朝鮮とは国交を結んだものの、
明とは正式に国交を結ばず、いわゆる民間交流レベルの貿易となった。朝鮮に対しては、徳川将軍は「日本国大君」と称し(一時期「日本国王」と称す)、国交を結んだ。
◆ 関連項目
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