もともと「近東」とは、
北アフリカの地中海沿岸部や
マシュリクと呼ばれる東アラブ地域(
シリア地方など)、
小アジア、
バルカン半島などといった
オスマン帝国の領域に含まれる地域を指す概念であった。これは現在の
エジプト、
トルコ、
シリア、
南コーカサス、バルカン諸国などに相当し、オスマン帝国外である
イランや
アフガニスタンは「
中東」と呼ばれ区別されていた。しかし、オスマン帝国の解体とその後の旧領内各地における
国民国家の成立の結果、かつて「近東」という概念で括られていたこれらの諸地域は必ずしも一体感を持った地域ではなくなったため、「近東」という言葉が具体的にどの地域を指すのかが徐々に曖昧になっていった。一方、かつては比較的狭い範囲を指す概念だった「中東」が、かつての「近東」が指していた地域も含んだより漠然とした概念となったため、現在では両者の間にはっきりとした区別が存在しない状態となっている。